ただ生きていればいい

エッセイ

先日父と、自然界がやっている事と同じようにしていれば、
大きく間違うようなことにはならないのではないかという話をしていました。

自然界とはつまり、人間以外のもの全てです。
木、鳥、昆虫、山へ行けば鹿やウサギ、猪などの動物もいます。
彼らは難しいことは考えていません(たぶん)。
ただ生きているだけなのです。

これはもちろん、人間以外の生き物を単純で下等な存在などのように
言っているわけではありません。
彼らの生き方は傍から見ると、
「生きる」という事をとても大切にしているように見えてきます。
岡本太郎風にいうと、まさに命が、生命が開いている。

見渡せば木々や昆虫、鳥たちの存在を目にすることが出来ますが、
彼らは今この瞬間を生きている。
今この一点のみに存在しているという、圧倒的な存在感を感じます。

反対に人間はどうでしょうか。
生きながらにして死んでいる人が多いように思えます。
自分自身でなんとか「生きる意味」や「生きがい」を作ったりしますが、
「生」をおざなりにしてはいないでしょうか。

初めにも言ったように人間以外の生き物は
生きる意味を見出したり、生きがいに縋って生きてはいません。
一瞬一瞬を、ただ生きている。
生まれてきたのならそれだけで良いはずなんです。

もしかすると、晩年は山に自分の家をDIYした鴨長明も
そんなことを考えていたのかもしれませんね。

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