仕事は覚えなくていい

エッセイ

後輩が入ってきたら必ずこう伝えます。
例えばドーナツ屋さんなら、ドーナツの作り方は覚えなくて良い。
レジ打ちをするなら、レジの打ち方は覚えなくて良い、と。

どういう事かと言いますと、その職場での実務を覚えると言うよりは
仕事への取り組み方、向き合い方を覚えていって欲しいのです。
実務なんて基本そのうち勝手に覚えていきます。

例えば同じドーナツ屋さんを例にしますが、
Aのドーナツを30個、Bのドーナツを15個作るように言われたとします。
この時に数字をきちんと覚える姿勢は、個人的にはNGです。
その様な人はもし言われた個数を忘れてしまった場合、
「AとBは、何個ずつでしたっけ」と質問しに行くことになるでしょう。

個人的には、言われた指示は一度自分の言葉に直すと良いと思っています。
Aを30個、Bを15個作るように言われたのなら、
例えば「Aのドーナツを多めね」と言い換えておくのです。
その上で指示内容もちゃんと覚えておけば申し分ないのですが、もしその後で
実は合計48個あった、とか
何個か落としてしまった
何て事があったとしても、いちいち指示を仰ぎに行く必要はないでしょう。

もう少しちゃんとした話をしますと、
受けた指示ややっている事の一枚向こう側、本質をしっかりと
理解する力を身に付ける事がとても大切です。

本質という意味で言うと、
前者のように個数を正確に把握するような性質を求める仕事も当然あります。
なので結局、どう言った仕事の仕方が求められているか、という部分を
理解していく必要があるのですね。

こういった考え方はやはり勝手に身に付くというよりかは、
自分で考えるクセを付けていった方がいいでしょう。
初めは難しいかもしれませんが、しかしそうすれば目の前の作業にただ終始するにとどまらず
「これってこうだよね。と言う事は・・・」という思考が出来始めるわけです。

と言う事はの先に続くフレーズは例えば、
こっち側に置いておいた方が良いんじゃないの?
この作業いらないんじゃないの?
一緒にやっちゃった方が良くない?
と言った建設的なアイディアになっていくのではないでしょうか。

そう言った仕事の仕方を身に付けておけば、
どんな環境のどんな職種についたとしたも
通用することは間違いないと思います。
仕事の出来、不出来でその人の価値や人間性は測れないと思っていますが、
しかしその人の正確が分かりやすく出ると言う相反する考えもあります。

仕事を嫌がる人は多いですが、仕事とはとても面白いと思います。

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